火葬時に残った遺灰が売却されていると知っていますか?

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日本で生活している限り、特別な場合を除いてほぼすべての人が経験(実際は亡くなっていますが)する火葬。
実は火葬された後に残った遺灰が売却され、自治体の収入になっているんです。

火葬された後の遺骨の一部は捨てられる?!

おおよそ愛知県より西の地域では火葬後の遺骨は一部を骨壺に納められるだけで、残りの遺骨は廃棄されます。
関東地方以東に住んでいる人からすると「え??」という感覚になると思いますが、関東と関西では畳の大きさや電圧が違いますし、エスカレーターの立ち位置も違います。
もう文化の違いとしか言いようがありませんが、事実です。

そのため骨壺のサイズも西側の方は5寸以下が主流、東側の方は7寸が主流となっています。

5寸骨壺の方が合理的

昨今、墓じまいや散骨・粉骨がメジャーになりつつありますが、「お墓は必要」と考える人の方が大勢を占めていることに変わりはありません。
ただ大きなお墓はそれなりに高額ですし、管理費などの維持費もかさむためコンパクトなお墓が増えているのが実際です。
お墓が小さいということは、お墓に納められる骨壺の数が限られるということですので、お骨の一部をはじめから廃棄することで骨壺のサイズを小さくすることは合理的と言えます。

実際に販売されている墓所のサイズは0.5平米程度のものからあります。
これは大人の人の肩幅程度の間口しかありませんので、納められる骨壺が7寸であれば2個しか入りません。
反面、5寸骨壺であれば4個程度納めることが出来ます。

7寸骨壺に全量を納める場合でも残灰は出る

火葬された遺骨の全量を骨壺に納めている神奈川県横浜市でも残灰が売却されています。
2017年度から残灰の売却が開始され、2018年度には約52トン1億円を超える収入が計上されています。
2018年度の横浜市の死亡者数は約33,500人と発表されていますので、単純計算で火葬1回あたり約1.5キロが売却されていることになります。

「え…そんなに?」

火葬後の大人の骨の総重量は、男女差はあるものの1.5キロ~2.5キロ程度と言われていますので、計算が合いません。
その答えは、金属です。

医療機器には純度の高い金属が使用されている

なぜ1.5キロもの残灰が回収されるのか。
その答えは遺骨ではなく、金属を回収しているからです。

火葬場で親類などの火葬を経験したことのある方ならば「こちらの器具は骨壺にお入れしますか?」と聞かれたことがある方がいると思います。
老齢になると転んだだけで骨折してしまうことが多々あり、骨盤や大腿骨に結構な大きさのボルトや固定具を直接取り付けますよね。
人工関節などもそうです。
これらのほか、棺に使用されているタッカーや釘などの金属も同時に残灰として残りますが、金属として価値があるのは前者である医療器具です。
※ペースメーカーなどの電子機器は火葬前に取り除きます。

体内に残置される医療機器には純度の高いステンレスやチタン、コバルト合金が使用されているため、これらが売れるというわけです。

関西と関東では状況が異なる

上記で神奈川県横浜市の例を出しましたが、同じく政令指定都市である横浜市の隣の川崎市では残灰の売却は検討していないかすでに見送っています。
理由は明らかにされていませんが、遺族感情に配慮していると考えてよいでしょう。

しかし関東地方など全量を骨壺に納める地域においては、売却されているのが金属であることは明らかで、その金属を骨壺に納めるかどうか(私の場合は)聞かれました。
であれば、問題はないのではないかと個人的には考えています。

しかし関西以西の場合は話が違います。
年間30トン~37トン程度発生している残灰の売却を検討している広島市では、今後市民へのアンケート結果を元に導入の可否を決定するとしていますが、金属だけでなく遺骨の残灰も合わせて売却(丸投げ)することと推測されます。
現在でも遺骨の一部は廃棄されていますが、それが売却となるとやはり話が変わってきます。
宗教観や故人の尊厳といった問題も絡んでくるため慎重な議論が必要だと思いますが、関西以西であっても実は都市部ではすでに売却の仕組みが出来上がっているのをご存知でしょうか。

売却に関する検討をしている自治体

神奈川県横浜市ではすでに残灰を売却していますが、他にも残灰の売却が行われている自治体はあります。
それは「仙台」「新潟」「浜松」「名古屋」「大阪」「神戸」「岡山」「福岡」「千葉」です。

全量を骨壺に納めない地域でも残灰の売却が行われています。
岡山の友人に聞いたところ、売却されていることを知らないということでしたので、今後導入を検討している自治体(熊本・相模原・北九州)では丁寧な説明が必要だと思いました。

まずは火葬を依頼する時点で貴金属は外すなど、遺族側も考えなければならないのかもしれませんね。

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