前年の10倍!駆け込み墓じまいが増加

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兵庫県相生市営の相生墓園と東部墓園で2019年度に返還(墓じまい)されたお墓が昨年2018年度の10倍になりました。

1974年に開園した相生墓園は約1000区画、1992年開園の東部墓園は約800区画を備える中規模な市営墓地。
アクセスのしやすさもあり開園以来ほぼ全区画が埋まっていたため、新規の募集ができにくい状況が続いていました。

区画販売が大きな収入源

墓地は区画を使用する(使用し続ける)権利を購入するもので、その区画の土地を購入するというものではありません。
永代供養料や永代使用料という名目で徴収されることが多く、区画の大きさなどによって異なります。
永代使用料を支払えば、墓石を建てるなど区画内をある程度自由に使えますが、返還時(墓じまい時)は更地に戻すことが一般的です。

永代使用料を支払って区画を使用するのとは別に、年間の管理費がランニングコストとしてかかってきますが、1区画あたり数十万円以上(寺院だと100万円以上も多い)が一般的な永代使用料が墓地霊園の大きな収入源となっています。

兵庫県相生市営墓地で駆け込み墓じまいが起きたわけ

2019年度に前年の10倍もの墓じまいが起きてしまった兵庫県の相生市営墓地。
その理由は使用料の返還金額が大幅に減額になったことが原因でした。

新規に区画販売をして収入を確保したい墓地は、区画の入れ替えがある程度頻繁になるよう、永代使用料を「区画返還時に払い戻す」ことを2007年に決めました。
その返還金額は使用料の「80%」です。

仮に30万円の使用料を支払っていた場合でも、区画の返還時には24万円が利用者に戻ってくるという仕組みでした。

返還金額を0に変更

お墓を持つという需要があった時代は80%変換しても良かったのかもしれません。
事実、区画に空きが出てもすぐに応募があるという好循環が出来ていました。

ところが昨今の「墓じまい」や、墓はいらないという「墓ばなれ」によって、今後の墓地運営に支障があると判断した相生市は2019年3月、80%の還付率を「5年以内に返せば5割返金、5年を過ぎたら0」と大幅に削減することに変更したのです。

墓地を購入(使用)した人が5年以内に返還するというのは現実的ではありません。
自分が死んだときのために墓地を購入する人もいますから、そもそも5年以内に墓石を建てることもないという人もいるでしょう。
となると5割返金を受けられる人はおらず、返金は実質0ということになります。

いままでが異常だった

返金が0になると分かれば「いつかは墓じまい」と考えていた人たちが殺到するのも無理はありません。
しかし、どちらかというと「返還」されるという仕組み自体が実は馴染みません。
民間の墓地霊園において「返還時に還付する」という仕組みは見受けられませんので、8割もの金額を返還するということ自体が異常だったと考えるべきでしょう。

この墓地が開園した昭和から、時代は平成・令和と移り変わっています。
利用者にとっては返還にともなう還付がなくなることは痛手かもしれませんが、「今までこうだったから」「前例がないから」など変化を嫌うお役所にあって、お墓のニーズが減ってきているという事実を受け止めたうえでの先を見据えた決定には良い印象を受けました。

このまま変更せずに市営墓地が赤字で運営されてしまえば、それはそのお墓を利用していない市民にも負担を強いることになるからです。

購入したかった人にはチャンス

返金率の変更で2019年に墓じまいをした区画は約80区画。
お墓を探していたという人にとっては公営墓地にお墓を持てるチャンスです。
気になる方は相生市環境課に問い合わせてみてください。

相生市環境課
電話:0791-23-7131

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