65歳以上の1人暮らしは約600万世帯
内閣府の調査によると、2015年時点での65才以上の高齢者の方の割合は全人口の約27%、およそ3400万人となっています。
そのうち約600万世帯(600万人)がおひとりで生活している独居老人です。
65歳以上のご夫婦のみまたは65歳以上の親と未婚の子供のみでお住まいの独居老人予備軍は1200万世帯。
合わせると65歳以上の高齢者の方々の半分以上、実に53%もの方々が独居老人・独居老人予備軍です。
※65歳以上の方を高齢者・老人と呼ぶのは失礼とは思いますが、資料のまま高齢者・老人として扱っています。
独居老人になる
独居老人になってしまう理由のほとんどは配偶者との離別です。
現代とは異なり、今現在高齢となっている方々の時代(昭和35年以前)の生涯未婚率は1%以下でした。
※平成26年では40歳未満の男性の未婚率は35%にもなります。(女性は約24%)
よく言われるように核家族化がすすみ、伴侶が亡くなってしまうことで1人暮らしになってしまっています。
身体や心が健康なうちはそれ自体に何の問題もありませんが、塞ぎ込んでしまったり歩くことが困難になったりすると、途端に問題が表面化してしまいます。
自分(自分たち)は大丈夫
1人暮らしではなく、ご夫婦2人で暮らしている高齢者世帯の割合は全世帯の約32%、750万世帯。
この形態の世帯では85%以上の方々が孤独死を身近な問題として意識しないと回答しています。
一方、ひとり暮らしである独居老人世帯になると約半数の方々が孤独死を身近な問題として意識しています。
この数値の乖離が、現実に独居老人になってしまったときに表面化します。
なぜなら同年代同士での婚姻関係であれば、ほとんどの場合どちらか(たいていは男性)が必ず先に亡くなり、ひとりで暮らすことを選択する場合が多いからです。
頼る人がいない独居老人の割合が20%
今(平成29年)65歳以上という方であれば、いわゆる団塊の世代でありベビーブーム世代とも重なると思います。
お住まいが地方なのか都心部なのかということはあるにせよ、ご夫婦だけまたはご自分だけという方よりも、別居の子供や孫がいる方が絶対的に多数派です。
ご夫婦で生活している場合、病気やけがなどの困った時に配偶者も含めて頼る人がいないという方はわずか2%程度。
しかし、男性のひとり暮らし(独居老人)になるとその数値は10倍、20%に跳ね上がります。
2015年のデータでは65歳以上の男性の独居老人はおよそ200万人ですから、何かあった時に頼る人がいないという人は40万人にもなるのです。
(女性は500万人中8.5%で42万人)
これは以下の都市の人口とほとんど同じです。
東京都品川区:39万人
愛知県豊田市:42万人
長崎県長崎市:43万人
千葉県柏市:41万人
島根県の全県民で約55万人ですから本当に多くの方に降りかかっている問題だと分かりますが、子供や孫などがいる世代ですらこの結果なのです。
未婚率の上昇でさらに顕著に
結婚しない人が増え、少子化が進む昨今ではさらに大きな問題が待ち受けます。
現在600万人と言われる独居老人は、わずか約10年後の2030年にはさらに100万人以上増加し720万人になると推計されているのです。
100万人以上増えると言っても長生きによる自然増で、現在55才(10年後に高齢者)の方々の未婚率もやはり1%程度ですので、子供がいる方がほとんどという世代ですから、何かあったときに頼れる人の割合は現在と変わらないでしょう。
問題は未婚率が上昇し始めた平成元年以降に生まれた人が高齢者(そのころは70才以上?)となる2050年以降の独居老人問題です。
この時には人口も1億人以下にまで減少し、0才から64才の人口と65才以上の高齢者人口が同じになります。
そして独身者の割合が男女とも50%を超え、高齢者も若年者も独りという時代です。
免れない孤独死
前出のデータの通り、ご夫婦で生活されている方のほとんどは孤独死などの問題は心配していないと回答していますが、その後ひとりになったとたんに半数の方が孤独死なども問題を心配し始めます。
孤独死して死後2日以上経過してから発見される方は年間2万6千件以上。
他人事ではありません。
遺品整理を専門とする業者によると、亡くなっていた方の部屋のほとんどは2人で生活している以上の荷物やゴミであふれていることが多いと言っています。
夫や妻が亡くなってしまってから整理することなく住み続け、気付いたら足腰が不自由になってしまうことが原因です。
孤立を回避する
独居老人と一口に言ってもただのひとり暮らしですから、それ自体が問題というわけではありません。
問題になるのはこれらです。
・家から出ない
・コミュニティに参加しない
・生活が乱れる
家から出ない
家から出るのは買い物程度で、人から干渉されたくないという人です。
こういう方はゴミ出しをすることもなくなり、ゴミ屋敷になっていきます。
ゴミ出しを手伝おうとすると、過干渉と感じてしまい余計に閉じこもってしまう傾向があります。
問題とされる独居老人の典型で、こうなってしまうと家族を含めて改善することが非常に困難となります。
自分の親や祖父母がこのような状態であれば、まずは家を片付けることが大切です。
生前整理や遺品整理業者、ハウスクリーニング業者を利用して家を片付け、ひとり暮らしに見合った管理されたマンションなどに引っ越すことが出来れば最上です。
コミュニティに参加しない
ある程度人口のいる地域であれば、囲碁将棋・散歩・絵画・写真・旅行・ダンスなどの会がたくさんあります。
ひとり身になってから、いきなりコミュニティに参加することは誰でも躊躇がありますから、元気なうちから自分の居場所を作っておくことが非常に有効です。
コミュニティに参加しないことは家から出ないことに直結しますので、無理矢理にでも参加するようにしてください。
生活が乱れる
男性の独居老人に多い傾向ですが、食事に無頓着になりインスタント食品だけで済ませるようになるのは危険です。
インスタント食品はまとめ買いが可能で生ごみが出ないため、上記と同じように家から出なくなる行動に直結します。
しかしこの問題の解決は簡単で、食事のデリバリーを取ることで解決できます。
デリバリーを毎日頼むなら、急な病気やケガなどがあったとしても、日数が経ってから発見されるという事態を回避する効果も期待できます。
なにより医師や管理栄養士が監修した献立を利用するなど、健康面への対策が際立っているのが特徴です。
コンビニ大手のセブンイレブンが行うセブンミールなら、500円以上で送料無料で届けてくれるので、安否確認という意味を含めると本当に格安で利用できます。
運動する、コミュニティに参加するということが面倒でも、食事なら気軽に始められますし、受け渡しの際に人と話すことになるので、外に踏み出す一歩になるはずです。
意外と快適な独居老人の暮らし
高齢者の20%の方々は、住まい・収入・健康のすべてにおいて一切心配していないというデータがあります。
また、心配なことはあるが現在の自分の生活に満足しているという回答は8割にも上ります。
持ち家に住み、贅沢をしなければ、時間とお金に余裕のある高齢世代。
食事や部屋の掃除などは業者に任せて、積極的に人生を楽しむ独居老人がいるのも確かなことです。
金銭的なこともありますが、両者の違いはやはりコミュニティに参加できるかできないかです。
入園・入学・就職など、異なるコミュニティに参画することで人は成長し、友人や配偶者に出会ってきました。
年齢とともに頑固になると言いますが、ぜひ無理にでもコミュニティに加わることをおすすめします。
下世話な話かもしれませんが、後期高齢者と言われる年齢で恋をすることも多いようですから。