増える独居老人と孤独死|孤独死した場合の自分の遺骨はどうなる?

葬送

孤独死(孤立死)

孤独死(孤立死)とは主に一人暮らしの人が誰にも看取られること無く死亡することを言います。
よって、老人に限らず働き盛りと言われる世代であっても孤独死に当てはまります。

ただ法律的な定義はなく、孤立した状態であっても自死を選択してしまったものであれば孤独死とはカウントされず、老々介護の末に介護をしていた側が亡くなってしまうことで、その伴侶も連鎖的になくなってしまうなどもカウントされません。

また突発的な発作などで亡くなる場合、身近に救急車を呼ぶなどの措置を取ることができる人間がいたら助かっていたと司法解剖の結果で分かれば孤独死とされますが、そうでない場合はやはりカウントされません。

年間26000人

 

1人暮らしの方が亡くなってしまってから2日以上経過後に発見される数は、総務省の推計で全国に年間約26,000人いると見られています。
1週間以上経過後に発見されるケースでも年間8,000人以上の方が孤独な死を迎えています。
これには上記の亡くなり方をしてしまった方は含みませんので、実数はもっと多いと考えられています。

東日本大震災で仮設住宅に住まわれている独居老人の方は、2018年までの7年間で250人以上が孤独死しています。
さらにさかのぼれば、阪神淡路大震災発生から18年が経過した2013年に、仮設受託や復興住宅で孤独死した方は1000人を超えました。

今一度書きますが、自殺は孤独死に含まれません。
本当に悲しいことに、仮設住宅に住まわれ、ストレスやさみしさで自ら命を絶ってしまう方もいらっしゃいます。

増える高齢者単身世帯

平成23年の厚生労働省の調査では、全国に4600万世帯が生活しており、その10%強、約500万世帯が65歳以上の単身世帯となっています。
また、65歳以上の夫婦のみ世帯も450万世帯以上あり、合わせると約20%、1000万世帯が高齢者のみで生活していることが分かります。

そのうちの6%、約64万世帯が生活保護受給世帯です。

調査当時の高齢者の割合は総人口の約23%ですから、ほとんどの高齢者が夫婦または単身で生活していることが分かります。

平成50年頃(2040年)には、人口に対する高齢者の割合は36%になると言われていますから、状況を好転させるのは非常に難しそうです。

孤独死のその後

孤独死してしまった方でも、遠方にでも身寄りがある方であれば、その後の葬儀などの心配はひとまずありませんが、身寄りのない場合はどうなるのでしょうか。

順序立てて説明します。
・警察による検死
・市区町村に引き渡し
・火葬・納骨・埋葬など
・資産の精算

検死

孤独死の場合、その事件性の有無に関わらず検死が行われます。
検死の結果、自殺(他殺)や突発的でないと分かれば孤独死になりますが、分類は変死となります。

市区町村へ引き渡し

事件性が無ければ遺体は市区町村に引き渡されます。
事務処理として、市区町村長は法務局長の許可をの取ったうえで死亡届を発行し戸籍に死亡と記載します。
死亡届が発行できたので、火葬を行います。

火葬・埋葬

公営の火葬場で火葬を行います。
自治体によって異なりますが、火葬後は公営の納骨堂や合同墓に埋葬、または散骨されることになります。

これは墓地埋葬法によって以下のように定められているためです。

第9条 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。

費用の精算

自治体決算書

身寄りがない場合、ここまでで必要となる費用は誰が負担するのでしょうか。

これは、原則として故人が支払うことになっています。
遺品整理(ゴミ屋敷となっている場合が多い)費用、火葬・埋葬費用は、故人の遺留金・遺留品の売却益が充当されます。
それでも不足する場合は市区町村で立て替え、最終的に都道府県が支払うことになります。
要するにわたしたちの税金ですね。

反対に葬儀を行っても遺留金が余る場合、弁護士などによる手続きを経て国庫に納めるのが原則なのですが、10万円の遺留金の手続きに30万円の手数料がかかるという仕組みになっており、実際は国庫に預けずに各自治体で保管しています。

※この保管・管理費用がバカにならず、近年問題になっています。
神戸市はこの遺留金を充当して相続人を探す、全国初となる条例案を提出しました。
可決されれば来月4月1日に施行されます。

孤独死への備え

突発的な事故、事件でなければしっかりとした準備をすることが有効です。
国や自治体、自治体の委託している非営利団体などが独居老人解消に向けて様々な取り組みを行ってくれていますが、残念ながら順調とはいえません。

コミュニティを形成して、人とのつながりを作ることに重点を置いているものが多く、孤独死の割合が高い高齢の男性は、そういったものに参加しない傾向にあるためです。

わたしが有効と思う手段は、遺書・エンディングノートです。
今後、孤独死してしまった方のエンディングノートの取り扱いが問題になる気がしますが、現状では法的な拘束力のある遺書が一番だと思います。

遺書には3種あります。
・自筆証書遺言
ひとりだけで書ける遺言
・秘密証書遺言
公証人と証人2人に証明してもらいます。
・公正証書遺言
遺言を公正証書にします。

遺書についてリンク

遺書を作成することで、資産がある場合でも国庫に預けられず、特定の人に相続させることや寄付をすることが可能になります。

生前の申し込み

生前に申し込むことで、ご自身の死後に海へ散骨してくれる業者さんもあります。
生前契約書を取り交わし遺骨の引受先として指定しておくと、粉骨・散骨を行ってくれるサービスです。
生前の散骨サービスを行っている業者さんは、後日まとめたいと思います。

散骨以外にも生前に申し込むことが出来るサービスがあります。

孤独死してしまっても、火葬後に散骨や合葬してもらえるので安心ですが、ご自身が眠る場所を自分自身で決めることが出来るのはやはりありがたいですよね。

孤独死がなくなることが一番ですが、さらに高齢化、核家族化、未婚化が進めば改善よりも悪化する可能性の方が高そうな状況です。
孤独死自体は減らないかもしれませんが、その後の葬送は生前に選択・申込みすることができます。

色々な形で支援の輪が広がることを望みます。

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