遺骨の引き取りを拒否する4女への遺言は本当に存在するのか。オウム麻原彰晃元死刑囚の遺骨問題

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麻原彰晃死刑囚の死刑が執行されました

2018年7月6日午前8時ごろ、オウム真理教の教祖である麻原彰晃(松本智津夫)の死刑が執行されました。
この執行と同時に教団幹部であった他6名の死刑も執行されています。

麻原彰晃の他に死刑が執行されたのは、早川紀代秀(68)、井上嘉浩(48)、新実智光(54)、土谷正実(53)、中川智正(55)、遠藤誠一(58)の6人です。

同日に7人が死刑執行されるのは司法制度が始まって以来例がなく、かつ1つの事件の関係者(首謀者)のみということに、なにかしらの策謀を感じずにはいられません。

※追記:死刑判決を受けていた他6名、合計13名の死刑執行が執り行われました。

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死刑の執行方法は

日本の死刑の方法は絞首刑(首吊り)と刑法によって定められています。

第十一条 死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する。
2 死刑の言渡しを受けた者は、その執行に至るまで刑事施設に拘置する。

そして死刑の執行を決める(命令する)のは法務大臣です。
法務大臣が死刑の執行を命令すると、その日から5日以内に刑を執行しなければなりません。

刑事訴訟法
第四百七十六条 法務大臣が死刑の執行を命じたときは、五日以内にその執行をしなければならない。

刑が執行されることを知るのは、執行当日の朝です。
個人的な意見で死刑囚の肩を持つわけではありませんが、仮にわたしが執行されるなら夕方の方がいいな、と感じました。

わたし「おはようございます」
看守「おはようございます。今から死にます。」
わたし「えーーー、起きたばかりなのにー?!」

といった具合です。
ただこれには理由があり、夕方に執行したり前日に告げてしまうと囚人が自殺してしまうことが多いためと、官公庁が開庁している時間帯という問題です。
死刑囚の大半は殺人罪で、被害者の方は生きることさえ出来なくなってしまっているのですから、1秒でも早く執行してほしいでしょう。

死刑の流れや詳細は割愛します。
詳しく知りたい方は「死刑 流れ」で検索すると実際に死刑を執行する部屋の写真を見ることが出来ます。

ちなみに、先進国で死刑制度が「実際に運用されている」のは日本とアメリカのみです。
韓国にも死刑制度は存在しますが、現在は法律が停止されています。
終身刑など死刑制度自体を無くす議論が必要なのは世界的な潮流のようですが、仮に自身が被害者家族になった時のことを考えれば極刑にしてもらいたいと願うはずですし、囚人が生きている間は食事などに税金が使われるわけですから、個人的には死刑廃止には賛成できません。

遺体を確認したのは麻原彰晃の家族

死刑が行われた拘置所から遺族に対して24時間以内に連絡が取れた場合は、遺体の引き渡しが可能となります。(多くは引きとりを拒否します)
死刑の執行翌日、麻原彰晃の妻(ヤソーダラー)、2女(カーリー)と3女(アーチャリー)、そして長男と次男が遺体と対面しています。

通常は対面の翌日遺族に遺体が引き渡され、遺族が自分たちで火葬場やお墓の準備をします。
引取りを拒否した遺体の場合は、東京拘置所の最寄りの火葬場「四ツ木斎場」「町屋斎場」、すこし離れていますが死刑囚の無縁墓がある「南池袋斎場」で火葬されます。

しかし今回は、遺族には遺体が引き渡されずに東京拘置所から車で1時間半以上かかる東京都府中市の「多磨葬祭場」が選ばれました。

火葬され遺骨となる

遠く離れた多磨葬祭場が選ばれたのは近隣の火葬場では安全管理上の問題があるためです。
さらに早朝の火葬時間外に火葬を行っていますので、当たり前ですが相当な警戒をしていることが分かります。
情報漏れを防ぐため遺族にも火葬する斎場の場所は知らされていないでしょうから、超法規的な措置が取られたうえで火葬が行われました。

火葬された遺骨は遺族に還されることはなく、東京拘置所で保管されています。
遺族に還されない理由は、麻原彰晃の遺言ということになっています。

遺言が最優先 その遺言の種類は「伝染病隔離者の遺言」か

なにもなければ遺体は遺族に引き渡されます。
遺族に妻や子供がいる場合は、喪主となる人が遺体を引き受けますが、今回は「東京拘置所」内で遺骨を保管しています。

理由は「麻原彰晃の遺言があったから」というものです。
そしてその遺言は死刑執行のわずか7分前のことと伝えられています。

ポイントとなるのは、それが「遺書」ではなく「遺言」だということです。
前述の通り死刑執行の報せは当日の朝言い渡されます。そこから遺書を用意することは現実的に難しいため、遺書を遺したい場合はあらかじめ準備をしておくものとされます。
そもそも麻原彰晃は(事実かどうかは分かりませんが)収監前から盲目という風に言われていますので、遺書を書くことはできないでしょう。

遺書ではなく遺言と言う場合、以下の民法の976条、977条が適用されたものと推測できます。

第976条 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
2 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。
3 第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。
4 前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
5 家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。(伝染病隔離者の遺言)
第977条 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

要するに今回の場合は、死刑執行の前に警察官1人以上と刑務官1人以上が立ち合い、口頭で自分の遺体の引き受け先を伝えます。伝えられた刑務官がその内容を記述し、内容を口頭で確認してほぼ完了です。

ここで個人的に気になる点は2点です。
①質問に答える形の遺言が認められるのか。
報道によると刑務官側から「遺体(遺骨)・遺品の引き取り手について」聞き、「ちょっと待って」と答えた後に「4女」と答えたとあります。
②確認のしようがない。
容疑者の取り調べ時に自白の強要があるとして、取り調べの「録画」がされるようになって久しいですが、死刑執行前のやり取りが録画されることはありませんし、公開されることもありません。

森友・加計問題ではありませんが「記憶にありません」「文書はなくなりました」など、公文書偽造がまかり通る政府です。
罪人ひとりの遺言など正義の名の元には取るに足らないことなのかもしれません。

当然、麻原の妻や3女はこれに納得していません。

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