全国散骨条例まとめ|散骨を規制されているのはほとんど散骨場業者だけです

散骨

散骨業者向けがほとんど

散骨業者さんの中には「法律や条例があるから自分で散骨するのは大変ですよー」といったニュアンスの言葉を使って、自社に申し込んでもらおうとする場合がありますが、はたして本当にそうなのでしょうか。

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条例の記事を書くにあたって全国の散骨に関する条例を調査しましたが、その多くは散骨業者向けの条例でした。

もちろん自分で散骨に行くことが体力的にだったり、精神的に大変な方もいると思いますが、法的なことが気になって自分で散骨しないのなら、ぜひ参考にしていただき安心して散骨してほしいと思います。

ただ、自治体の条例以外にも守るべきことはありますので、こちらの記事も参考にしてみてください。

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自分で散骨するときに知っておきたい条例

秩父市環境保全条例(埼玉県)

第7章 焼骨の散布制限、ごみ等の投棄禁止及び飼犬のふん害等の防止(平20条例38・改称)
何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。ただし、市長が別に定める場合は、この限りでない。

対象者が「何人も」となっているので、個人での散骨も禁止です。
また、市長が別に定めることはまずありません。

長沼町さわやか環境づくり条例(北海道)

第11条 何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。

対象者が「何人も」となっているので、個人での散骨も禁止です。

岩見沢市における散骨の適正化に関する条例(北海道)

第7条 散骨は、散骨場以外の区域において、これを行ってはならない。ただし、次条の規定による届出をした者がその届出に係る区域において散骨を行う場合は、この限りでない。
(散骨場以外の区域における散骨の届出)
第8条 散骨場以外の区域において散骨を行おうとする者は、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。

散骨場の経営については細かい規定が定められていますが、散骨自体は届け出制のため可能です。

松島町環境美化の促進に関する条例(宮城県)

第八条 何人も、みだりに焼骨を散布してはならない。

対象者が「何人も」となっているので、個人での散骨も禁止です。

個人を対象とする条例はわずか

現在、個人がいわゆる節度をもって散骨する場合に条例で規制している市区町村は上記の4つのみです。
何度も書いていますが、だからと言って好きなところに勝手に散骨して良いわけではありませんので、十分な配慮を持った行動をお願いします。

事業者を対象とした条例・要綱

個人が節度をもって散骨する場合の条例は思いのほか少なく、北海道・松島・秩父といった環境の良い場所で規制されているのみとなっていますが、散骨場を建設しようとする事業者や散骨しようとする事業者への規制はあります。

七飯町の葬法に関する要綱(北海道)

第1条 七飯町内において事業者による法定外の葬法が提起された場合には、地域における行政を自主的かつ町民の意思尊重の下に実施するため、本要綱を制定する。

第3条 事業者が法定外の葬法に関する事業を計画する場所を設定するときは、次に掲げる区域等を除くよう指導し、事業者はこれを遵守するものとする。
次の施設にかかる土地の敷地境界から110メートル以内の区域
・学校教育法、児童福祉法、老人福祉法などに基づいて設置された施設
・都市公園法に規定する都市公園、公園、広場その他の公共の用に供する空地
・その他、国道、道々等交通の頻繁な道路、軌道、河川、公共施設・公共的施設及び人家
・水道水源等に影響を及ぼすおそれのある区域(取水区域及び取水区域の境界から500メートル以内の区域)
・自然公園
・北海道自然保護条例に基づき指定された地区
※一部を抜粋しています。

諏訪市 墓地などの経営の許可に関する条例(長野県)

第3条 散骨場を経営しようとする者は、市長の許可を受けなければならない。
第9条 墓地又は散骨場の設置場所は、次の各号によらなければならない。ただし、第1号及び第2号の距離については、市長が地勢の状況により公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認める場合は、この限りでない。
(1) 国県道その他重要な道路、鉄道、軌道及び河川から50メートル以上隔てること。
(2) 人家等ふくそう地より200メートル以上の距離を有すること。
(3) 土地は高燥な所を選び湿潤な所を避けること。
(4) 飲用水が汚染されるおそれのない所であること。
(5) 境界を画し、かつ、清潔美化の措置をすること。

御殿場市 散骨場の経営の許可等に関する条例(静岡県)

第3条 散骨場を経営しようとするものは、許可申請を行う前に、規則で定めるところにより関係人に対し、当該散骨事業の計画について、説明及び協議するための説明会を開催しなければならない。
第4条 計画者は、許可申請を行う前に、あらかじめ、当該散骨場と境界を接する土地所有者の同意を得なければならない。
第5条 計画者は、許可申請を行う前に、当該散骨事業の計画について、あらかじめ市長と協議しなければならない。
第6条 計画者は、散骨事業を行おうとするときは、市長の許可を受けなければならない。

本庄市 散骨場の設置等の適正化に関する条例(埼玉県)

第4条 散骨場を設置しようとする者は、あらかじめ市長の許可を受けなければならない。

箱根町 散骨場の経営の許可等に関する条例(神奈川県)

第3条 事業者は、散骨事業を行おうとするときは、町長とあらかじめ散骨事業に関する事前相談を行わなければならない。
第5条 事業者は、近隣住民等に対し、当該散骨事業の計画について、説明し、及び協議するための説明会を開催しなければならない。
第6条 事業者は、当該散骨場と境界を接する全ての土地所有者の同意を得なければならない。
第7条 事業者は、散骨事業を行おうとするときは、町長の許可を受けなければならない。

熱海市 散骨場の経営の許可等に関する条例(静岡県)

第3条 散骨場を経営しようとする者は、あらかじめ市長の許可を受けなければならない。

伊東市 海洋散骨に係る指針(静岡県)

⑴ 伊東市内の陸地から6海里(約11.11㎞)以内の海域で散骨しないこと。
⑵ 環境保全のため自然に還らないものをまかないこと。
⑶ 宣伝・広報に関し、「伊東沖」、「伊東市の地名」など、「伊東」を連想する文言を使用しないこと。

三島市 散骨場の経営等の許可等に関する条例(静岡県)

 

第5条 散骨場の経営等をしようとする者は、あらかじめ、市長の許可を受けなければならない。

湯河原町 散骨場の経営の許可等に関する条例(神奈川県)

第6条 散骨事業者は、散骨事業を行おうとするときは、町の許可を受けなければならない。

今後も増加傾向

執筆時点で条例(一部要綱)となっているのは以上ですが、市区町村議会での議事録などを見てみると早急な対応が必要と考えている自治体が多くありました。
散骨の多くが相模湾・駿河湾・東京湾に集中しているのが良く分かりますが、今後は東北地方や西日本、日本海側でも条例が施行される流れになると考えられます。

自治体としては国による規制を望んでいるようですが、法務省や厚労省としては現時点でその考えはないとしています。

今後もその動向を見守っていき、分かりしだい発信していきたいと思います。

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