散骨を行うときに目にする墓地埋葬法 違法な散骨をしないために知っておきたいたった一つのこと

散骨

散骨に関わる法律は3種類

散骨をしたいと考えたときにまず考えることが違法ではないのか、ということだと思います。
違法かどうかは一旦置いておくとして、何の法律に対して違法なのかを知っておく必要があります。

知っておかなければならない法律は3つあります。
1)刑法
2)漁業法
3)墓地埋葬法

1)刑法

刑法の中で散骨に関わるのは刑法190条、死体損壊・遺棄に関する条項です。

死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

詳しくはこちらの記事をご覧いただければと思いますが、自分自身で散骨を行う場合も粉骨散骨業者に依頼する場合も、悪意ある散骨行為でなければ特段の問題はありません。

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2)漁業法

漁業法の中で散骨に関する条項は143条、漁業権についてです。

漁業権又は漁業協同組合の組合員の漁業を営む権利を侵害した者は、二十万円以下の罰金に処する。

自分自身で散骨する場合に意外と気を付けなければならないのがこの漁業権で、日本の沿岸部の多くは漁業権が設定されており、設定されている範囲内は他人の土地という感覚を持っておくと間違いありません。
散骨業者に依頼する場合は、たいてい漁業権の設定された海域よりも沖合で散骨することになるので心配無用ですが、ごくごくまれにカヤックで散骨をする業者(業者と言えるのか?)や、海岸や砂浜から散骨する業者がいるので利用しない方が賢明でしょう。

自分の利用する散骨業者さんを確認したい方はこちら>

3)墓地埋葬法

そして今回クローズアップするのがこの墓地埋葬法です。
墓地埋葬法は昭和23年(70年前!)に施行された法律で、4章全26条程度の内容の少ない法律です。

第1章 総則
第1条 この法律は墓地、納骨堂、火葬場の管理、埋葬等が国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。
第2条 この法律で「埋葬」とは、死体を土中に葬ることをいう。
2 この法律で「火葬」とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう。
3 この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。

第2章 埋葬・火葬・改葬
第3条 埋葬又は火葬は、死亡後24時間を経過した後でなければってはならない。
第4条 埋葬又は埋蔵は、墓地以外の区域に行ってはならない
2 火葬は火葬場以外の施設で行ってはならない。
第5条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければならない。

第3章 墓地、納骨堂及び火葬場
第10条 墓地、納骨堂、火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
第14条 墓地の管理者は埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬又は埋蔵をさせてはならない。

第4章 罰則
第20条 以下に該当する者は6箇月以下の懲役又は5千円以下の罰金に処する。
一  無許可で火葬場、墓地、納骨堂を経営したもの
二  火葬場、墓地、納骨堂の整備・使用の禁止を命じられたが従わないもの
第21条 以下に該当する者は千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
一  第3条、第4条、第5条ほかの規定に違反した者
二  都道府県職員の立入検査を拒み、妨げ、忌避した者、若しくは虚偽の報告をした者

 

いくつか分かりやすく抜粋するとこのような感じです。
第1章にある「公衆衛生・公共の福祉の見地」の文言の通り、人に不快感を与えないこと、周辺環境を悪化させないことが目的で、施行された年代からも分かる通り「散骨」に関することが直接的になにか書かれているわけではありません。

墓地埋葬法の原文はこちら>

墓地埋葬法で散骨に関わるたった一つのこと

墓地埋葬法の中で散骨に関わる可能性が持たれている条文はたった一つ第4条です。

第4条 埋葬又は埋蔵は、墓地以外の区域に行ってはならない。

言葉の解説をしておきます。
「埋葬」とは、条文中にある通り死体を土中に葬ることを言います。
「死体」とは、火葬していない生身の状態を言います。
「埋蔵」とは、火葬が済んだ状態の焼骨を土中に葬ることを言います。
「墓地」とは、都道府県知事の許可を受けた地区を指します。

 

要するに生身の状態の死体であれ、火葬した焼骨であれ、粉骨した遺灰であれ、墓地以外の土中に葬ってはならないということです。

埋めてないからいいだろうという理由で粉骨した遺骨を道路に撒いた場合はどうかといえば、墓地埋葬法には反しません。
しかしながら、明らかに一般的でない方法といえるため刑法の死体損壊・遺棄罪が適用されます。
また当然ながら、許可された墓地以外に死体を埋めてしまった場合も死体損壊・遺棄罪になります。

墓地埋葬法はガイドライン

見ていただいて分かる通り、墓地埋葬法は犯罪者を見つけて厳罰に処すという趣旨の法律ではなく、ほとんどガイドラインのような法律です。
助長することになると困りますが、仮に粉骨した遺骨を善良な弔意をもってどこかに埋めた(埋蔵した)としても、その罰則は1,000円以下の罰金程度です。

とはいえ違法は違法です。
故人を送る最期の行為ですから、墓地埋葬法の第4条を遵守して気持ちよく散骨を行って差し上げてください。

ここで紹介した法律以外にも各地方ごとに散骨に関する条例が定められている場合もあります。
散骨する前には必ず確認をお願いします。

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