【更新:最後の動画】登山家栗城史多がエベレストで遭難 遺体となって発見

訃報

登山家の栗城史多(くりき のぶかず)さん死亡

登山家の栗城史多(くりき のぶかず)さんがエベレスト登山中に遭難し亡くなった可能性があるとヒマラヤタイムズが速報で伝えていましたが、栗城さんの事務所代表が本日(5月21日午後3時13分)正式に遺体を発見したと公式ブログで発表しました。

栗城事務所の小林と申します。
このようなお知らせになり大変申し訳ございませんが、エベレストで下山途中の栗城が遺体となり発見されました。
下山を始めた栗城が無線連絡に全く反応しなくなり、暗い中で下から見て栗城のヘッドランプも見当たらないことからキャンプ2近くの撮影隊が栗城のルートを登って捜索し、
先ほど低体温で息絶えた栗城を発見いたしました。
生きて帰ることを誓っておりましたのに、このような結果になり大変申し訳ございません。
生きて帰るため執着しないと誓っておりましたのに、最後に執着してしまったのかもしれません。
皆様へのご報告が遅くなりなりましたこと、心よりお詫び申し上げます。
何m地点で発見されたかなどこれ以上の詳細が日本でわからず大変恐縮ですが、またわかり次第お知らせ申し上げます。
これまで栗城を応援していただき、本当にありがとうございました。

最後の肉声はキャンプ3から

日本時間の5月20日23時頃、標高7400メートルのキャンプ3付近からは栗城さんの肉声で登頂に向けての無線コメントがアップされていたばかりでした。

その約12時間後、体調不良により下山する旨の無線連絡がベースキャンプに入りましたが、残念ながら自身の足で下山することは叶いませんでした。

栗城さんの遺体はキャンプ2で発見

標高7000メートル超のキャンプ3から1000メートルほど下ったキャンプ2で栗城さんの遺体は発見されました。
発見された時点で低体温症により亡くなっていました。
あと1000メートル下りることが出来れば、仲間のいるベースキャンプに戻ることができる場所でした。

http://www.kurikiyama.jp/

栗城さんのエベレスト挑戦は今回で8度目

今回のエベレスト挑戦が8度目となる栗城さんですが、実はいまだエベレストの登頂経験がありません。
テレビ番組でイモトアヤコさんが世界各地の最高峰といわれる8000メートル級の山に登頂を果たしているにも関わらず、プロの登山家である栗城さんが登頂していない(イモトさんもエベレストは未踏)のは条件とルートが異なるためです。

栗城さんのエベレストの登山条件は秋季・単独・無酸素

いまでは観光登山すら出来るようになってしまった世界最高峰エベレストですが、観光登山ができるのは気候の安定した春に限られます。
荷物もシェルパがほとんどを背負い、豊富な食糧と徹底的に安全を確認されたルートを酸素ボンベを使いながら登ります。
※過酷であることに変わりはありません。

対して栗城さんがチャレンジしていた季節は秋。
そして無酸素、単独という条件でした。

この条件の違いはまったく別の山と言ってもいい違いです。

4度目のチャレンジで指9本を失う

この過酷な条件を自分に課したことでの代償は両手の指のほとんどを失うというものでした。

しかし、4度目に両手の指のほとんどを失ってからもエベレストへのチャレンジをあきらめることはありませんでした。

わたしが栗城さんを知ったのもこの時(4度目のチャレンジ失敗)で、素人ながらに登山を趣味とするわたしはエベレストからのライブ配信やライブ映像にいつも感動させられていました。

酸素ボンベを持たずに登る無酸素登山は、体内酸素濃度が生存限界ぎりぎりまでに下がり、心臓が張り裂けそうになるほど高鳴り、息をするだけで精一杯の世界。
その逃げ場のない、厳しい環境の中で不安や孤独と向き合うこと。
それはもう一人の自分自身と向き合うことでもあり、自分の中にある生きる力を生み出そうとする不思議な世界です。

登頂した時の強烈な喜びがあるということは、その分の苦しみや困難があるからです。
困難の中に生きる力がある。
山が人間に与えてくれた最大の学びかもしれません。
山の中で自分と向き合い、懸命に生きる。
過程における様々な困難を楽しむ。
それが秋季エベレスト無酸素・単独登山の世界です。

栗城史多オフィシャルブログから

とにかくチャレンジすること

栗城さんは1982年北海道生まれ、35歳という若さでした。
大学山岳部に入部してから登山を始め6大陸の最高峰を登り、8000m峰4座を無酸素・単独登頂。

●6大大陸最高峰
北米大陸最高峰:マッキンリー
南米大陸最高峰:アコンガグア
ヨーロッパ最高峰:エルブルス
アフリカ大陸最高峰:キリマンジャロ
オセアニア最高峰:カルステンツピラミッド
南極大陸最高峰:ビンソンマシフ

●8000メートル峰4座
世界6位:チョ・オユー
世界7位:マナスル
世界8位:ダウラギリ(非公式)
世界12位:ブロードピーク

自ら企業を回ってスポンサーを募ったり、クラウドファンディングで資金を集めたり、インターネット生中継をしたりしてきました。

エベレスト山頂からのライブ配信を期待して資金を出した個人からは、何度も続けて登頂できない栗城さんに対して誹謗中傷するようなこともありました。
そのたびに、結果よりもチャレンジすることの大切を訴えていたことが印象的でした。

 

山は本当に1歩1歩しか進めず、ゴールも見えないし戻るのもつらいということが多々あります。
8000メートル級はおろか、3776メートル以上に登ったことはありませんが、同じ山好きとしてご冥福をお祈りします。

遺体が見つかったことが何よりです。

※単独・無酸素という表現が適切でないと言われていますが、故人を偲び記載を見送ります。

5月27日追記
死因について低体温症とされていましたが、滑落による全身打撲であると訂正されました。

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11月22日追記
栗城さんの最後の挑戦時の動画を追加しました。

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